看護学部大学院について〜 看護師のキャリア・専門性・将来性から考える
しかし一方で、「本当に進学する意味があるのか」「就職したほうがよいのではないか」「大学院に行くと何が変わるのか」と迷う方も少なくありません。
結論からいえば、看護学部大学院への進学は、目的が明確な方にとっては非常に意義のある選択肢です。
特に、専門性を高めたい方、教育・研究に進みたい方、将来的に専門看護師や高度実践看護を視野に入れている方にとって、大学院は大きな意味を持ちます。日本看護協会では、専門看護師の教育要件として、看護系大学大学院修士課程などの修了を求めています。
高齢化の進行、地域包括ケアの拡大、多職種連携の重要性の高まり、患者背景の複雑化などにより、単に知識や手技を覚えるだけでは対応しきれない場面が増えているからです。
その中で、臨床経験をより深い理論や研究に結び付けたい、将来的には教育・管理・研究にも関わりたい、と考える方が大学院進学を検討する流れは自然だといえます。実際に、専門看護師やナースプラクティショナーなど、高度実践に関わる制度でも大学院教育が重要な基盤として位置付けられています。
臨床の現場で感じていた疑問を、「経験」だけで終わらせず、文献や研究、理論を用いて整理し直せるようになる点は大きな強みです。
たとえば、患者支援、家族看護、精神看護、在宅看護、がん看護、地域看護などの領域で、より高度な視点から問題を捉えられるようになります。これは、現場での判断力や説明力の向上にもつながると考えられます。高度実践看護師教育課程やJANPU-NPの制度設計を見ても、大学院レベルの教育が高度な実践能力の基盤として扱われていることが分かります。
教員や研究者を目指すなら、研究計画の立て方、文献レビュー、研究方法、論文執筆、学会発表などの経験が必要になります。
また、臨床現場でも、後輩指導、院内教育、看護研究の推進などに関わる場面は多く、大学院で培った力は教育職だけでなく実務でも生きやすいです。
日本看護協会の専門看護師制度では、看護系大学大学院修士課程などの修了が教育要件とされています。また、専門看護師には、実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究という6つの役割を果たすことが求められています。
さらに、日本看護系大学協議会のナースプラクティショナー資格認定でも、認証された教育課程で所定単位を修得していることなどが受験資格に含まれています。
つまり大学院は、単に「学位を取る場所」ではなく、将来より高度な役割を担うための基盤にもなりうるのです。
看護学部大学院への進学は有力な選択肢ですが、全員にとっての正解ではありません。
大学院では、授業を受けるだけでなく、研究計画の作成、文献検索、レポート、論文執筆、発表などが求められます。さらに一般的な修士課程は2年が基本であり、時間的・経済的な負担も無視できません。文部科学省の大学院制度の整理でも、修士課程は通常2年を前提とした構造で扱われています。
そのため、次のような方は慎重に考えたほうがよいでしょう。
▸ まずは臨床経験を積むことを優先したほうがよい方
▸ 研究よりも、現場での実践経験を先に増やしたい方
▸ 進学の目的が「なんとなく不安だから」「就職を先延ばししたいから」になっている方
✔ 臨床で感じる課題を、研究や理論を通して深く考えたい方
✔ 看護教育に関わりたい方
✔ 病院や地域で、リーダー的役割や調整役を担いたい方
✔ 看護管理や政策、地域連携など、より広い視野で看護を考えたい方
領域が曖昧なままだと、大学院選びも研究計画もぶれやすくなります。
しかし、専門性を高めたい、教育や研究に関わりたい、高度な実践や管理の役割を目指したいという目的がある方にとっては、非常に有力な選択肢です。専門看護師やJANPU-NPなどの制度を見ても、大学院教育が看護の高度化と密接につながっていることは明らかです。
大切なのは、「大学院に行くこと」自体を目的にしないことです。
自分がどのような看護師になりたいのか。
どの分野で、どのような役割を担いたいのか。
そこが明確であるほど、大学院進学は大きな意味を持つと考えられます。
岩崎 陽一
株式会社アクト 代表取締役
Meg看護師国試予備校・獣医師国試予備校・心理師国試予備校/CES医師・歯科医師・薬剤師国試予備校/PMD医学部専門予備校 運営
