看護学部生必読!進級対策で押さえるべきポイントと勉強法
看護学部の進級対策について
4年間の大学生活は高校生活よりも自由になり楽しいこともたくさんあります。しかし看護学部に入学すると、暗記しなければならない量の多さや、暗記だけではなく技術の習得、さらには1年間通しての実習など大変なことも待っています。だからこそ少しずつ苦手を無くしてゆくことが重要になってきます。今回は、進級のためにも各学年で大変なことやその対策についてお話しします。
基礎医学と看護師の役割を学ぶ
看護学部に入学後、まず大学生として「教養(基礎分野)」を勉強します。語学や社会について、人間についてなど幅広く勉強しますがその科目の内容は大学によって差があります。
同時に看護師になるための勉強も始まりますが、教養科目と看護学生が履修しなければならない科目との間には大きな違いがあります。それは、教養科目は自身で基礎医学と科目を自由に選択して単位を取得する場合が多い一方、看護師になるための必要な授業はほとんどが必修です。これは、看護師国家試験を受験するため、つまり看護師になるために必要な科目が定められているためで、一部の選択科目を除きほぼすべての科目が必修です。
授業の欠席についても大学ごとで制限があり出席日数が足りない場合は試験を受けることが出来ません。進級し看護師になるためにも、授業に出席し試験を受けていきましょう。
1年次においてこのような看護師になるための授業は「専門基礎分野」と呼ばれ、人間の基本的な構造や機能を勉強する解剖学や薬理学、病理学、微生物学などの基礎医学や「看護師とはどのような役割か」といった看護の基本に関する授業も始まります。
このような専門の分野は教科書が分厚く大変に思うかもしれませんが、授業をする先生は「臨床に出て困らない内容」や「国家試験で問われる内容」に的を絞って授業でお話ししてくださいます。まずは授業の内容の理解に努め、わからない場合は先生や参考書を頼ってコツコツと暗記をしていきましょう。
看護学生向けの参考書などは書店に行けばたくさん置いてありますが、学ぶ内容が膨大であるため成書に手を付けるより、授業の内容を理解する方が大切です。試験も先生が授業で話されたことを中心に出題されます。
ここでなぜ看護師が医学を勉強するのか、と思われるかもしれません。
看護師であっても医学を勉強する理由は、例えば糖尿病をお持ちの患者さんでは足に壊死が生じる「合併症」を引き起こす場合がありますが、その合併症の看護を行うためにも、なぜその合併症が引き起こされるのか、どのようにすれば防げるのかといった人体や糖尿病の理解があってはじめて、その患者さんにとって必要な看護はどのようなものかを考えることが出来るようになります。
このために医学の知識は必要になります。
看護の専門科目と看護技術の練習
1年生の基礎医学に引き続き、医学分野では「臨床医学」を勉強し始めます。同時に看護科目では「専門科目」と呼ばれる授業が始まります。この科目も必修であり以下の科目を学びます。
- 基礎看護学
- 地域・在宅看護論
- 成人看護学
- 老年看護学
- 小児看護学
- 母性看護学
- 精神看護学
- 看護の統合と実践
2年生では座学で主にその理論を勉強し、主に3年次で看護の実践を病院や高齢者施設などで実習を行う場合がほとんどです。
2年次ではこれらの科目を座学で勉強するだけではなく、3年次での実習に備えて「看護技術」の練習もおこなわれます。
- 具体的には患者さんの病衣(寝衣)の替え方
- 点滴の扱い方
- 血圧測定や体温測定の方法
などといった基本的なことを学んでいきます。これらに対しても試験があり、友達同士で患者役・看護師役となって練習し試験を受けていきます。初めは慣れない技術ですが、友達と何回も練習して合格を目指しましょう。
またこの時期に看護師にとって大切な内容を学習します。それは「看護過程」と呼ばれるものです。これは簡単に言えば、病気をもった患者さんを目の前にしたときに、一体看護師として何が出来るかを整理して考えるための方法です。看護師の自己満足ではなく、患者さんにとって必要であり、満足していただけるような看護を提供する必要があります。
そのためにも「患者さんが」何を必要としているのかを客観的な情報や主観的な情報をコミュニケーションなどから収集して分析していきます(この分析のためにも、医学の知識が必要になってきます)。
この分析があってはじめて「患者さんにとって必要な看護」を計画し、実践することが出来ます。その結果、患者さんはどのように変化したのか、更に改善できる方法は無いかなど反省を加えていきます。このようにして看護師は看護を提供しているのです。
この内容の勉強は誰もが初めは困難に感じる科目です。ただし実習に出た際にも必ずこの看護過程を用いて患者さんに看護を提供しますが、逆に言えば看護過程を書くことが出来なければ患者さんに看護を提供することが出来なくなってしまいます。
とくに情報収集やアセスメント(分析)の段階でつまずく人が多くいますが、分析に必要な知識の多くの部分は医学知識になります。わからない場合は先生に質問して早めに苦手意識をなくすことや、分析に必要な医学知識を1年生の授業からコツコツと続け、また復習も行って対策をしていきましょう。
2年次まで習得したことを元に看護実習
3年次では2年次で学習した内容を応用するため、実習に向かいます。
実習では、患者さんが座学で勉強するよりもとても有意義な内容を私たちに教えてくださいます。ただしこの時期は慣れない環境や、「看護過程」の記載が大変など、ストレスの多くかかる時期でもあります。そのため3年次の進級対策として体調管理も重要になってきます。
患者さんから得られる学びを大切にしながら、自身の体調にも気を配って実習を乗り越えていきましょう。看護過程の記載の仕方がわからない場合も一人で悩まず、先生や場合によっては看護師を頼って実習を乗り越えていきましょう。
4年間の総決算「看護師国家試験合格」に向けて
4年次の前半までに実習を終えている大学が多く、残された専門科目の座学を勉強した後は、卒業論文の準備と看護師国家試験の準備に取り掛かります。また、夏休みに入る前までには就職する病院の試験を受けます。一部の病院では3年生の冬休みに試験が行われる場合があるので、早めの準備と対策が必要です。卒業論文は教員とテーマを決めて個々で取り組んで行きます。
4年生は今までの学年と比べても授業の回数が少ないですが、空いている時間を有効に使って国家試験の勉強を開始する必要があります。
国家試験での出題範囲も「出題基準」というものがあり、主に必修問題と一般・状況設定問題があります。内容はいままで4年間で学習してきた内容が出題されます。
注意しなければならないのは必修科目であり、50問出題されるうち、8割の40問を取らなければ不合格となってしまいます。一般・状況設定問題(190問)で合格に必要な点数(ボーダーライン)は毎年変動します。
例年国家試験の合格率は9割前後で推移していますが、問題数も多く、幅広い分野から出題されます。多くの大学では夏ごろに国家試験の模試があるため、模試の結果を受けて自分自身に合った勉強の方法を探っていきましょう。
まずは必修問題から学習してゆく場合が多く、市販の参考書を何度も繰り返して得点できるように学習していきます。参考書は必修対策と一般対策に関する成書をそれぞれ1冊ずつ完璧になるまで繰り返すことで合格ラインに達することが出来ます。
看護師進級対策のまとめ
各学年の対策を今まで見てきましたが、覚える量はさることながら体力面でも大変な時期があります。日ごろからの体調管理と自身に合った勉強方法を見つけ、最終的には国家試験に合格して晴れて看護師となれるよう、日ごろの授業の出席と内容の理解に努めることが重要になってきます。