看護師の進路は無限大!医療・教育・企業まで、多彩な可能性を最大限に活かす方法

看護師の進路は無限大!医療・教育・企業まで、多彩な可能性を最大限に活かす方法

看護師になるために大学に入学した場合にどのような進路があるか想像のつく人は少ないと思います。反対に言えば、「看護師になる」道しかないと思っている人も多いかもしれませんが、実際には幅広い進路があります。

そしてその進路は大学を卒業する前に決断をして就活や受験を通して実現させていかなければなりません。今回は、看護大学を卒業した場合にどのような進路があるか説明します。

 

まず、大学卒業後の進路として大きく分けて2つ分けて考えてゆきます。①「看護師になる」場合と、②「看護師ではない」場合の2つです。

 

看護師になる場合

看護師になる場合

これは皆さんが想像している通り、病院やクリニックなどで働く看護師のことを指します。

病院で働く看護師と言っても実際には多くの役割があります。外来で働く場合もあれば、病棟で働く場合、病棟でも急性期や慢性期、小児や母性といった対象者が異なる看護を担う看護師になってゆきます。

 

ただし大学を卒業したばかりの場合は、看護の基本的な手技を習得することが最も大切です。また、保健師助産師看護師法(以下、保助看法)では卒業後に「免許を受けた後も、臨床研修その他の研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない。」と卒後研修の「努力義務」が明記されました(第28条)。

つまり、患者さんに良い質の看護を提供するためにも、どの病院もなるべく新人研修を行い新人看護師をサポートする必要があり、新人看護師として成長するためにも、このような新人看護師に対するサポートがしっかりとなされている病院に応募するのが一般的です。

 

このようにして病院でしばらく基本的な看護業務を習得したのちに、病院をやめて在宅看護を行う看護師、クリニックでの勤務に移ったり、病院に残りキャリアを積んだり、場合によっては大学院に進学して「専門看護師」「認定看護師」といった専門的な看護をおこなうための資格取得へと道がひらいて行きます。

 

「専門看護師」は「複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供する」(日本看護協会ホームページ)ことを目的としており、大学院への進学が必要です。

日本看護協会
https://www.nurse.or.jp/

 

この専門看護師(や認定看護師)を目指す場合、入学には大学卒業レベル(いわゆる学士取得)や実務経験を求められる場合があり(詳しくは各大学の募集を確認してください)、一般的には実務経験を積んだ後にこのような取得を目指すことになります。

 

また、このような資格ではなく学問としての看護を追求したい場合、大学院への進学を目指すことになります。この進学の場合、実務経験を積んでから進学する場合と、4年制大学卒業後にそのまま進学する場合の2つに分かれます。

どちらを選ぶかは、個人がどのような研究を行いたいか、そして進学先の大学院の教授などと話して考えてゆくことになります。大学院進学後は、看護師の教員としての道もひらけてきます。

 

看護師ではない場合

これは少し複雑です。いくつかに分けて紹介します。

 

A.保健師や助産師になる場合

助産師

保健師や助産師も国家資格ですが、保助看法の第7条でそれぞれの資格は看護師の国家資格に合格していることが条件であると明記されています。

そのうえで保健師や助産師の国家試験を受けなければなりません。(なお、助産師は保助看法で女性のみが就くことが出来ると明記されています。)

 

保助看法では、保健師や助産師になるためには1年以上の教育が必要と明記されており、看護師として大学を卒業した後に、専門学校や大学院、専攻科などのルートを通ってこれらの資格の取得を目指す場合や、大学在学中に看護師の資格を目指しながらも保健師や助産師になる「選択コース」などと呼ばれるルートを通り、看護師国家試験と同時に他の資格試験を受ける場合があります。

大学在学中に保健師や助産師の免許を取得したいと考えている場合は、大学進学の際の進路選択にも影響してくるため注意が必要です。

 

保健師や助産師の資格を取得した後に看護師として働く道もありますが、助産師や保健師になる場合は、就活の段階でそれぞれの資格が活かすことが出来る場所に多くの人は応募します。

 

保健師の場合、就業場所として市区町村、都道府県の職員、保健所の職員として就職する場合や、病院や診療所、社会福祉施設、介護老人福祉施設など様々な場所に就職しています。助産師の場合も病院や診療所のほかに、保健所や都道府県・市区町村の職員として勤務する場合もあります(日本看護協会「看護統計資料」より)。

ここからわかるのは、免許を取得した後、さまざまな就職先があり、活躍できる場所があるということです。ただ、看護師と同じく保健師や助産師にも卒後研修の「努力義務」があるということを忘れないでおきましょう。

 

このように多様な進路先があることを知ったうえで、学校の先輩や実習先で実際に働いている保健師や助産師の姿をみて、自分自身が将来どのような場所で働くか考えてみるのも良いと思います。

 

B.養護教諭になる場合(いわゆる保健室の先生)

保健室の先生

看護大学から養護教諭になるルートもあります。

養護教諭を目指すことが出来る大学や短期大学で看護師の免許を取得している場合に取得する必要の単位を軽減されることもあります(文部科学省「教員免許状に関するQ&A)。

養護教諭として働きたい場合は、募集している大学などの募集要項を確認し自身の看護師免許(や単位)が活かせる教育機関で勉強をしていきましょう。

 

C.一般企業に就職

一般企業

これは、看護職の資格を用いて「産業看護師」や「産業保健師」として就職したり、医療関係の企業に就職する場合と、全く資格と関係ない企業に就職する場合とに分けることが出来ます。

基本的には大学卒業の資格を有している場合は、他の学部生と変わらず一般企業に就職することは可能です。

 

産業看護師を目指す場合は、募集している企業を目指します。

産業看護師とは「産業保健における看護専門分野であり、働く人々が健康と安全の保持増進を図れるように支援することを目的」(日本産業看護学会より)とした職業であり、活躍の場や仕事の内容は多岐にわたります。どのような仕事が出来るかは企業によっても大きく異なるので、一つの選択肢として調べてみるのも良いでしょう。

 

D.その他

今まで見てきたように、看護職の資格を有していても様々な働く場所、働き方があります。

ただ、看護大学に進学したものの思っていたのとは違う、といったことも考えられます。そのような場合には看護職ではない進路も考えることが出来ます。

 

一部の大学には「編入学」という制度があり、卒業をしなくても(卒業した場合でも)取得した単位数に応じて大学の途中の年次(2年次や3年次)に入学する仕組みがあります。

この方法を利用して、別の学部に編入学し、別の職業を目指すことも可能です。編入学でなくても、一般入試を経て別の大学の学部に入学する(再受験)ことも可能です。看護師でありながら弁護士の資格や医師の資格などを有している方もいます。

 

まとめ

以上様々な進路先を紹介しましたが、看護職の活躍の場は広がっています。

たとえ「看護師」と一言で言ってもそこには様々な働き方があります。思ってもみないところに自分が希望する進路があるかもしれません。

まさにここで紹介したのはあくまでも例であり、最終的には様々な進路から1つに選んで道を進んでゆくことになります。どのような進路があるのかを知ったうえで、自身の進路を考えて行きましょう。