【看護師国家試験対策】国家試験対策の進め方と1年間のスケジュール
看護師国家試験合格に向けて
看護師国家試験は毎年2月に実施されています。合格率は近年90%台を推移していますが、午前と午後の一日をかけて例年240問近く解かなければならない長丁場の試験であり、現段階で追試験の実施もないため、1年に1回の試験に向けて学力と体調を整えて臨む必要があります。
国家試験対策の本を購入するために書店に行くと分厚い国家試験用の参考書がずらりと並んでおり、それを手にしたらよいか、どのくらい解くことができればよいのか、分厚い内容を覚えることができるかどうか不安に思うかもしれません。
今回は、看護師国家試験に向けてその試験の概要とどのように準備を進めていけばよいかお話しします。
看護師国家試験の概要
看護師国家試験において本番で何を問われるか、その試験範囲が実は試験前に公表されています。
「看護師国家試験出題基準」と呼ばれるものですが、読んでみるとその試験範囲は膨大であることに気がつくと思います。
そしてその中の項目に沿った問題を毎年問題作成し出題されます。この「出題基準」はいままで皆さんが4年間看護学校で勉強してきた内容と同じといえます。
そのため、過去問を解かなくてもすでに解ける国家試験の問題もあると思いますが、4年分の内容ですので忘れていたり覚えていなかったりして一から勉強しなければならない内容もあると思います。
問題数に関しては、例年240問出題されますが、このうち必修問題が50問、一般問題が130問、状況設定問題が60問となっています。必修と一般問題はそれぞれ1点、状況設定問題は2点の配分です。
このうち必修は必ず8割(40点)以上得点しなければ他の項目で点数がよかったとしても不合格となってしまいます。
必修以外の問題で必要な得点は毎年変動していますが第112回の試験では合格基準が249点(採点除外問題あり)中152点以上得点する必要がありました。これは約61%の得点率なので、一般では6割以上、毎年ボーダーラインが変動することを踏まえても7割以上は得点しておきたいところです。
看護師国家試験に向けての勉強法
まず、時間に余裕がある方は、3年次の特定の領域の実習を終えた直後にその範囲の問題を一回解いてみることをお勧めします(急性期実習が終わったら急性期の出題範囲を解く、など)。
2年次で理論を勉強し、3年次の実習で実際に患者さんを受け持った経験から、国家試験の問題を解くことができると思います。正解しなかった場合でもよい復習になりますし、国家試験で何が問われるのかを知るよい機会になります。
状況設定問題でもまさに、実習で受け持ったような患者さんが出てくるかもしれません。
しかし、実習も大変でありそこまでの余裕はない、という方は少なくとも実習がすべて終わった後、もしくは長期休みに一回問題に目を通してみることをお勧めします。
どの時期から勉強を始めるかは、個人の学力や今までの学習の成果に大きく左右されます。学校で模試が開催される場合にはその模試の結果を受けて勉強の進み具合を確認してもよいと思いますし、問題を一回解いてみてその得点から考えてみてもよいと思います。
短期間の勉強で合格する人もいますが、結局その人にはそれまでの積み重ねがあったということでもあるため、個人でその勉強を始める時期を考えなければなりません。
ここで注意しなければならないのは、参考書の選び方です。
看護師国家試験参考書の選び方
書店に行くと、多くの出版社が様々な種類の看護師国家試験向けの参考書を出版しています。
多すぎるくらいありますが、どれを手に取ったらよいのでしょうか。まず注意しなければならないのは問題集ではなく出題される範囲を効率よく記載してある参考書のようなものは買わない、もしくは買ったとしてもあくまでも辞書のようにわからなかった範囲を調べる程度に使う、ということです。
確かにこれをすべて覚えれば国家試験に合格すると思いますが、実際に全部覚える作業を行うことは効率的ではありません。
むしろ、問題集を先に買って手を付けたほうが効率的です。加えてお勧めなのは、解説が豊富に記載されているものです。
問題集は基本1冊だけ購入しよう
具体的には、自身で書店で過去問題集を読んでみて自身が国家試験まで繰り返して読むことができそうな「相棒」を探します。通常相棒は1人だけです。過去問題集を何冊も買っても、それはあくまでも「過去問題集」である限り基本的には似たような問題が掲載されています。
それにも関わらず何冊も買い込んで、量に圧倒されて消化不十分な状況では過去問題を解いてゆく意味が薄れてしまいます。1冊の相棒となる過去問題集を買ってそれを完璧に解くことができるまで何回も解きます。
ただし、相棒は一冊と言いましたが、看護国家試験の特徴から、「必修」と「一般・状況設定」をわけたような参考書と「必修と一般・状況設定」すべてを合わせて掲載した問題集など様々なパターンがあります。
分離しているものは必修問題のみ掲載されているなど効率よく必修対策ができるメリットがあるため、必修で8割以上は絶対に得点しなければならないことを踏まえても、「必修のみの参考書」と「(一部の必修問題と)一般・状況設定問題の参考書」の2冊を購入するのもよいと思います。
参考までに!
問題集の使い方と具体的な勉強方法
そして問題を解き始めていきますが、最初は全然わからなかったり、選んだ答えに自信がないなど難しく感じるかもしれません。それでも問題はありません。はじめはだれでも難しく感じるものです。
ただし重要なのは、「早い段階で問題集を1周する」ということです。実習が終わった際にその領域の問題を解き始めた人でも、すべての実習が終わった後(4年次)に解き始める人でも、早い段階、具体的にはどれだけ遅くても夏までには必ず1周しましょう。この1周を行う際に、問題に〇△×の印をつけていきます。
〇=自信をもって解くことができて正解した、
△=自信はなかったが正解した、
×=曖昧で適当に解いた、不正解だった
などと決めて印をつけます。この1周目はあまり時間をかけすぎない、というのもコツです。解説もこの段階ではあまり見ず、とにかく1周解いてみることに専念しましょう。
1周目
問題全体を見渡して①どの分野(領域)が多く△や×がついたのか②必修問題の△や×の数を確認します。①について〇の多い領域はおそらく得意な分野なのかもしれません、勉強を△や×の多い問題と比べても対策は後回しでもよいでしょう。
反対に△や×、特に②のように必修で△や×のような問題が多い場合はその分野の対策をしていきましょう。何度も繰り返しますが、必修問題は8割を絶対に取る必要があるため、必修問題は他の問題と比べても△や×はゼロになるくらいに勉強」する必要があります。これが達成されたら一般や状況設定問題での△や×の問題を減らしていきます。
この時に、どのくらい△や×の問題があるかによって勉強を開始しなければならない時期が変わってきます。そのために早めに問題集を1周して自身の実力を確かめてみる必要があります。
2周目
少し丁寧に解いてゆきます。問題を解いて2回目としての〇△×印をつけてゆきます。この際に△や×の問題の解説を少し丁寧に読んでみましょう。なぜ間違えたのか、忘れていただけなのか、覚えていなかったのかなど見極めて暗記をしていきます。
2回目解いてゆくと2回とも〇の問題や2回とも×の問題があると思います。2回とも×の問題はおそらく覚えていなかったり苦手な箇所なのでしょう。重点的に覚えたり復習する必要があります。
ここでのアドバイスとして挙げられるのは、「ある表や数値」を覚えるだけで何問か一気に解くことができるような問題です。例えば、小児の発達段階については例年聞かれていますが、小児のどの段階を問題として出題されるかは毎年異なります。このような問題に対処するには、まず問題を覚えるよりも、問題を解くのに必要な小児の発達段階をすべて覚えてしまったほうがはるかに効率的です。
このような例はほかにもあり、統計の問題や、検査データの正常値、出産後の母体変化、社会保障制度についてなど毎年出題されるような「表や数値」があります。問題を解きながら、これらの表や数値も覚えてゆきましょう。この際に、自身の苦手な分野をノートにまとめてもよいかもしれません。毎日繰り返し見ることで覚えることができます。
3周目以降
ある程度問題が解けるようになってきていると思います。〇問題は何回といても〇だと思うので、△や×の問題を解いていきましょう。ゴールはすべての問題で〇がつくまでです。繰り返し1冊(もしくは2冊)の相棒を解くことで確実に国家試験に合格するだけの実力を身につけることができます。
もし△や×の問題に関して過去問題集に記載されている解説を読んでも理解が出来ない場合は、ここで参考書に当たってみるか、看護学生向けのインターネットサイトを調べてみるなどそのわからない範囲を出来る限り少なくするように心がけてください。
国家試験本番までには少なくとも3周はしておきたいところです。早く対策を開始すればするほど、何回も問題を解くことが出来るようになります。
以上要約すると
- 問題をいつから解き始めるかは個人によって大きく変わるので、長期の休みや実習終わりに1周解いてみる。少なくとも夏までには一周を終える。
- 参考書はなるべく「過去問題集」を利用する。必修だけまとまっているもの、一般と状況設定問題がまとまっているものの2冊程度を買うのみで合格には十分。何冊も買い込んでしまうと反対に消化不良になってしまう。そして解説が豊富にあるものを選ぶ。
- 問題を解くときには〇△×の印をつけて△×の問題を重点的に、繰り返し解く
- 表や数値を覚えてしまったほうが何問も解けるようになる、といったものはなるべくその表や数値も覚える
まとめ
今回は、看護師国家試験の概要と対策方法についてお話してきました。
勉強方法で重要なのは、問題集を一つ決めてそれを繰り返し解くということです。何回も解いて△や×の問題が減れば減るほど国家試験の合格に近づくことが出来ます。卒業論文の執筆や就活などのイベントもある4年次ですが、残されている時間を有効に活用して「来年からは看護師」になれるよう頑張っていきましょう!