看護学科で留年したらどうする?進級の難しさと対策方法

看護学科での進級の難しさ・留年率は?

看護学科での進級の難しさ・留年率は?

看護学科では、4年で卒業することが基本です。そのため、短期間で看護師としての仕事に必要なスキルを身につける必要があります。教養科目の学習から看護実習までを短期間でこなすことになり、効率の良い学習が不可欠です。大学での学習リズムに馴染めなかったり、専門科目をきちんと理解できなかったりした場合は、進級できずに留年することもあり得ます。

 

看護学科では、医学部医学科や薬学部と比べて留年率は低い傾向が見られます。しかし、各大学で一定の留年者が発生しており、必要な学習を怠っていたり、そもそも入学時の学力が偏っていたりする場合などは留年のリスクが高まります。では、看護学科における留年者の数について、いくつかの大学の例を見てみましょう。

東京医科大学医学部看護学科
  • 平成30年度~令和5年度の在籍者数:350~380名
  • 留年者数:6~17名
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東京医療保健大学医療保健学部看護学科

 

兵庫医科大学看護学科
  • 2020年~2022年の留年者数:8~16名
  • 学生数:400名以上
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※看護学科の留年率は数%程度で、医学部や薬学部の留年率(約10%前後)と比較すると低めです。

 

もっとも、留年以外にも退学などで、看護学科に入学したもののストレート卒業に至らない例があります。また、卒業はできても看護師国試に不合格となるなど、スムーズに看護師になれないこともあり得ますので、大学での勉強にきっちり取り組むことが大切です。

看護学科で留年したらどうすべき?

看護学科で留年したらどうすべき?

看護学科で留年した場合、まずは専門科目のどの部分が理解できていないのかをはっきりさせることが大切です。その科目の勉強が足りていなかっただけなのか、それとも前学年までで学んだはずの内容が抜け落ちているのかを整理しましょう。

場合によっては、高校の理科で学習した内容が定着していないこともあり得ます。高校範囲までさかのぼる必要がある場合は、リメディアル教育を受けましょう。

 

また、1年次でいきなり留年した場合や、専門科目の授業が本格的に始まる2年次以降で学習時間が足りなくなった場合などは、大学での勉強の進め方を見直す必要があります。何を、どう勉強すれば効率よく学習内容を身につけて単位を取れるのかを考えましょう。

看護学科での学習方法に不安がある場合は、看護師国試予備校などに相談するのも1つの方法です。自分の大学における授業のカリキュラムや進級試験・卒業試験などの傾向も踏まえながら、個別のアドバイスを受けられると有意義です。

最終学年まで留年がない場合のメリット・デメリット

留年制度は大学や学部によって異なります。医学部などでは留年するとその学年での単位を全て取り直す必要があるところも見られ、留年したときの大変さに大きく影響してくるので注意が必要です。看護学科の留年では、落とした単位(不足している単位)のみを取り直す仕組みが多く見られます。

落とした単位のみを取り直すシステムの中には、そもそも最終学年まで留年しないというものがあります。進級は単位の取得状況によらず行われ、卒業要件のみに単位に関する項目があるパターンです。

4年次以外では留年しない制度では、1年次~3年次で多少の単位を取り損ねても、翌年以降に挽回できるメリットがあります。体調不良で勉強が少し遅れた場合なども、4年トータルで必要な単位を取得することでストレート卒業を実現しやすいです。

 

一方、単位数が大幅に不足した状態で4年次を迎え、留年やむなしの状況になってしまうリスクがあります。単位の数が大幅に足りないだけでなく、専門科目の内容をほとんど理解できておらず、実質的には2年次や3年次の学生よりも学力が劣っているケースもあり得るので注意が必要です。卒業までに取得すべき単位数から逆算し、各学年でどのくらいの単位を取っておけば4年次で苦しくならないかをよく考えておきましょう。

目安と比べて単位取得が遅れている場合は、原因を探って早めに改善しておくことが大切です。また、必修科目や実習などの時間割によっては、1つの単位を取れなかったことが次の学年以降で大きく響いてくる可能性があります。必修科目の単位は確実に1回目で取得するようにしてください。

メリット・デメリット

各学年での留年があり得る場合のメリット・デメリット

各学年で必要な単位数や必修科目の単位を取得できていない場合に留年するシステムもあります。このようなシステムでは、卒業までに身につけるべき知識が定着しているかどうかをこまめに確認できる点がメリットです。学習が遅れている場合は低学年でも留年することになり、自分の学習が不足していることを明確に認識できます。

 

一方、学習が少し遅れ気味になった時点で留年する可能性もあり、ストレート卒業を目指す場合はハードルが高くなります。1年次で新生活や大学での学習方法に馴染むのが遅れ、いきなり留年することもあり得ます。また、必修科目を1つ落としただけで留年というケースも考えられるため、留年しないために細心の注意が必要です。

看護学科で留年時の単位取得方法(大学別)

看護学科で留年時の単位取得方法(大学別)

看護学科で留年した場合の単位取得方法は、「落とした単位のみを取り直す」という形式が一般的です。具体的には、下記の大学などが該当します。

 

岐阜協立大学、高崎健康福祉大学、札幌保健医療大学、純真学園大学、上智大学、摂南大学、千里金蘭大学、大和大学、天理大学、姫路獨協大学

 

落とした単位のみを取り直す方式の場合、確実に進級や卒業に近づいていける一方、単位を取得した授業の内容を忘れてしまい、これから受ける授業の理解や看護師国試対策に支障が出る可能性があります。留年生として過ごす1年間を有効に使い、専門科目の理解を深めておきましょう。

 

また、上智大学大和大学などでは、1年次~3年次の間は留年というシステムがありません。取得単位数が少ない場合でも4年次へと進んでいくことになります。3年次までに単位をあまり取れていなくても4年次で挽回できるシステムではあるものの、1年間で取得できる単位数には限度があることや、専門科目の内容をきちんと理解できずに単位を落としていると、4年次で一気に苦しむことになりかねません。

基本的には、各学年に配当されている科目の単位をその学年できっちり取得していくことや、卒業に必要な単位数については、4分の1ずつ取得するのではなく、少し余裕を持たせて取っていくことが望ましいです。

まとめ

看護学科は4年で卒業となるところが多く、留年によって追加でかかる1年間を長く感じやすいです。確かに看護師になるのが1年遅れてしまうため、留年すると不安を感じることもあるでしょう。しかし、看護師として活躍するためには、看護学科を卒業するだけでなく、看護師国試に合格することや、医療現場で活躍できるスキルを十分に身につけておくことが大切です。そのため、留年する1年間は理解が不十分な点をきちんと見直す機会をとして前向きに捉えましょう。単位がわずかに足りなかっただけで留年した場合など、その年の学習時間に余裕がありそうな場合は、看護師としてのキャリアについて考えるなど、将来に役立つ時間の過ごし方ができると良いですね。