現役看護師が教える看護師国家試験合格のための「模試の活用法」と「戦略的学習計画の立て方」
模試を活用するための基本ステップ
模試は国家試験を攻略するためにかかせない存在です。模試の重要性と役割は何なのでしょうか。
模試は単なるテストではありません。国試受験における模試は、自分の実力を客観的に把握し、今後の学習計画を立てるための貴重な機会なのです。具体的な模試の重要性と役割を以下に記載します。
自分の実力を知る
模試を受けることで、得意・不得意な領域や、自分の学習レベルを具体的に知ることができます。得意分野をさらに伸ばすのか、苦手な範囲を集中的に勉強するのか、模試の結果を自分の学習計画に反映させていきましょう!
合格判定
模試の結果は得点率や偏差値によって「A〜D」でランク付けされることが多いです。ランク付けによって合格の可能性を予想でき、国試合格までの道のりを知ることができます。
本番の練習
模試は本番と同じ問題数と時間設定で行われるため、時間配分などを練習できます。国試本番で「時間が足りない!」と焦らないよう、時間配分を意識しながら模試に取り組みましょう。
領域ごとのレベルを知る
模試の結果は領域ごとに詳しく記載されます。領域ごとの得点率を知り、日頃の学習が各領域の実力にどの程度繋がっているのか判断しましょう。その結果から自分の強みと弱点を明確にし、克服するための対策を立てることができます。
モチベーションの獲得
模試は国試本番までに何度か開催されます。前回の結果と見比べて学習効果を知ることができるためモチベーション維持に役立ちます。模試の結果が思うようにいかなかった場合は、得点を伸ばすために何が足りていないのかを考えて学習計画に反映させることで次回の模試までのミッションを明確にしてみましょう。
模試のデータ分析で学習効率を最大化する方法
次に、模試の活用方法を記載します。
実際に模試の結果が返されたら、「分析→学習計画の修正→模試の復習と学習計画の再開」の手順で勉強を進めましょう!以下で各手順の詳細を説明していきます。
a.分析
まず初めに「分析」です。返却された模試の結果表をじっくりと読み解きましょう。模試を最大限に活用するためにはまず自分の今の立ち位置を知ることが必要です。読み解く内容としては、自分の合格判定、偏差値、領域別の得点率などです。
模試の成績表の一例を、テコム看護より挙げてみます。このように、全体の合格判定(ランク分け)や偏差値、項目別・分野別の実力などがわかるようになっています。全体の偏差値だけでなく、分野別の偏差値も知ることができるので、今の自分がどの分野を攻略できているのか、いないのかを客観的に判断することができます。
テコム看護 TECOMより引用
成績表の裏面または2枚目には次のような内容が書かれていることが多いです。各問題の正答や正答率を知ることができます。また、正答率が高い問題を間違ってしまった場合は、その問題にチェックを入っている成績表が多いです。
正答率が高く、自分が間違っている問題は合否を分ける一問になりやすいのです。しっかりとチェックして、何故間違ったのか、何の知識が足りなかったのかを考えるようにしましょう。
テコム看護 TECOMより引用
b.学習計画の修正
a.で分析した結果を学習計画に反映させます。まだ着手できていなくて正答率が低かったものは余裕を持って勉強できるように予定を調整しましょう。そして、問題は勉強していたのに正答率が低かった領域です。
正答率が低かった原因が理解不足なのか、復習不足なのかを判断して学習の方法まで計画するようにしましょう。時間があれば再度その領域を勉強する期間を設けられますが、時間が無い場合はまだ勉強ができていない領域を優先しつつその合間に復習をしていく必要があります。
そのため、学習計画には何を勉強するのかという内容以外に優先順位、勉強方法まで取り入れることがポイントです。
c.模試の復習と学習計画の再開
学習計画の修正が終われば、学習を再開します。模試の復習と学習計画の再開はなるべく並行して行うようにしましょう。模試の復習に時間をかけすぎると、本来行うはずだった学習計画が崩れてしまうためです。模試の復習は、自分の弱点を考えつつ日々の学習の参考にしながら、周辺知識を補うためのものと考えましょう。
ではここで模試の復習のポイントを補足します。模試の復習では、模試で間違った問題や自信がなかった問題を解き直し、さらにその周辺知識を見直しましょう。模試と同じ問題が本番で出る可能性は低いので、模試問題だけを復習するのではなく周辺知識を見直すことで類題に対応できるようにすることが重要です。
そして暗記のためには1回に時間をかけて勉強するのではなく時間を空けて何度も見直しをすることが大切です。1度の模試の復習に時間をかけすぎて復習の沼にハマらないよう注意しましょう!
国試合格までの計画:模試結果を活かす勉強法
ここでは学習の時間管理や復習のポイントについて記載します。
まずは時間管理についてです。時間管理には、「一定時間をかけて学習する内容」と「スキマ時間で学習する内容」を含めましょう。例えば、まだ勉強ができていない分野はしっかりと時間をかけて学習する必要がありますから、これは一定時間をかけて学習する内容として時間を割り振りましょう。そして、勉強をしたが苦手な分野や点数が悪かった分野は知識を定着することを優先させます。そのため、これらはスキマ時間で学習をする内容として繰り返し勉強しましょう。
また、勉強をする際はしっかりと休憩時間を挟むことが大切です。脳が疲れた状態での学習は考えることが難しくなってしまいます。そのため、自分が集中できる時間を把握して「学習→休憩→学習」と休憩を入れ込むようにします。休憩は学習の10分の一程度の時間がおすすめです。
次に復習についてです。模試の復習のポイントでも記載しましたが、知識を記憶するためには知識の理解の後に時間を空けて見直しをすることが重要です。一度覚えた知識は長い時間使わないと忘れてしまうためです。その特性を表したものが「エビングハウスの忘却曲線」です。
この忘却曲線によると、人は学習した内容を「20分後には42%忘れ、1時間後には56%忘れ、1日後には74%忘れる」と言われています。つまり、一回の学習に時間をかけることも大切ですが、何よりその知識を1日後や1週間後にもう一度入れ直すことが大事です。そのため、復習のタイミングまで含めた時間管理を行うと良いでしょう。
合格に向けた最後の追い込み!模試から得た知識を定着させる方法
学習と模試を繰り返していくうちにいよいよ本番が近づいてきます。この記事の最後は、本番前の追い込みと知識の定着についてお話しします。
本番が近づくと学習計画を立てにくく感じる方が多くなります。学習期間が短ければ短いほど「1周できない学習範囲」が増えるためです。そのため、本番前に学習に困った場合は、幅広い範囲を短時間で復習できる参考書を活用しましょう。1問1答や必修問題集などが一例です。
このように、1問解くために時間がかからない参考書を進めるうち、自信がない知識が出てくるでしょう。その知識を教科書で補い、周辺知識を復習してみます。そうすることで効率的に全範囲を復習することが可能です。これを最後の追い込みとして効率的に学習を進めましょう!他にも、おすすめの参考書を記載した記事がありますのでそちらも参考にしてみてください。
この記事では、模試の活用法(分析など)と国試までの計画の立て方についてお話ししました。1年に複数回行われる模試を最大活用して実力を伸ばしていきましょう!