看護師国家試験本番メンタル&体調管理マニュアル(睡眠・食事・会場での過ごし方)

メンタル・体調管理のイメージ

本番で一番大事なのは「今ある力をそのまま出し切ること」

国試直前になると、「あと何点伸ばせるか」「どこまで詰め込めるか」という勉強の話に意識が向きがちですが、本番当日に本当に大事なのは「これまで積み上げてきた力を、そのまま出し切れる状態で会場に行けるかどうか」です。寝不足で頭が回らなかったり、緊張で手が震えてマークがずれたり、トイレの心配ばかり気になって問題文が頭に入ってこなかったりすると、知識がどれだけあっても十分に発揮できません。

ここでお伝えする内容は、医学的な治療や診断の話ではなく、あくまで一般的なコンディションづくりの考え方です。持病がある人や、強い不安・睡眠の問題がある人は、必ず主治医や専門家の指示を優先してください。その前提のうえで、「自分でできる範囲の準備」として読んでもらえたらと思います。

試験1〜2週間前からの睡眠調整の考え方

睡眠リズムは、前日一晩だけでガラッと変えるのは難しいものです。国試本番は朝から長時間続くため、「その時間帯に頭が一番よく働くように整える」ことが大切です。

試験の1〜2週間前くらいから、当日のスケジュールを意識して、少しずつ生活を寄せていくイメージを持ちましょう。たとえば、普段は夜遅くまで勉強して昼近くまで寝ている人は、いきなり22時就寝・6時起床に変えるのではなく、15〜30分ずつ段階的に前倒ししていきます。朝起きたらカーテンを開けてしっかり光を浴び、軽く顔を洗ったり、ストレッチをしたりして「朝だ」と体に知らせてあげると、体内時計が少しずつ整いやすくなります。

また、「眠れないかもしれない」という不安は、眠ろうとするほど強くなってしまうことがあります。ベッドに入ってもなかなか寝つけないときは、時間を見過ぎないことと、「1〜2時間短く寝ても、当日いきなり倒れるわけではない」と自分に言い聞かせてみてください。どうしても長く続く睡眠の悩みがある場合は、我慢せずに早めに医療機関に相談することも大切です。

前日・当日の食事で意識したいこと

食事についても、特別な「勝負飯」を探すより、「普段と大きく変えないこと」が基本になります。前日や当日の食事で避けたいのは、脂っこいものや辛すぎるもの、大量のカフェインや糖分など、胃腸に負担をかけたり、急激に血糖値を上下させたりするものです。慣れていないエナジードリンクを試すのも、本番当日はあまりおすすめできません。

その一方で、おすすめなのは、普段食べ慣れている和食や家庭のごはんに近いメニューです。ご飯やパンなどの主食と、消化の良いタンパク質(卵、豆腐、魚、鶏肉など)、少しの野菜やスープがそろっていれば十分です。朝ごはんを普段食べない人は、いきなりしっかり食べるとお腹がびっくりしてしまうこともあるので、試験の数日前から軽めの朝食を試してみると安心です。

水分は、こまめに少しずつとるイメージが大切です。一度にたくさん飲むとトイレが近くなってしまったり、気持ち悪くなってしまったりすることがあります。カフェインを含む飲み物が好きな人も、量とタイミングを意識して、午後遅すぎる時間には控えるようにすると、夜の睡眠にも良い影響が出やすくなります。

会場で緊張を和らげる簡単な呼吸法とルーティン

国試本番の会場は、静かで独特の緊張感があります。周りの受験生の表情や、カリカリと鳴るシャーペンの音が気になって、心臓がドキドキしてくることもあると思います。そんなときに役立つのが、短時間でできる呼吸法と「自分なりのルーティン」です。

呼吸法の一例としては、「4秒かけて鼻から息を吸って、6〜8秒かけて口からゆっくり吐く」というリズムがあります。特別な呼吸法の名前を覚える必要はなく、「吐く息を長めにする」と覚えておくだけで構いません。胸ではなく、お腹あたりがふくらんでしぼむのを感じながら、数回くり返してみてください。周りからは普通に座っているように見えるので、試験前の着席中にも実践しやすいです。

ルーティンとは、「いつも同じことをすることで、心を落ち着けるための習慣」です。たとえば、問題冊子が配られたら、表紙に自分の受験番号をゆっくり書き、その下に小さく「落ち着いて」「いつも通り」と一言メモする。開始の合図を待つ間、シャーペンを一度手の中で握ってから、机にそっと置く。そういった小さな動作をあらかじめ「本番の合図」に決めておくと、緊張していても「いつもの流れに戻る」きっかけになります。

途中でパニックになったときの「リセット手順」を決めておく

どれだけ準備をしていても、問題文を見て「全然分からないかも」と感じる瞬間が来ることがあります。心臓がドキッとして、頭が真っ白になるような感覚になると、「もうダメだ」と思ってしまいがちですが、そこで必要なのは「やり直しボタン」の押し方です。

パニック気味になったときのリセット手順を、事前に紙に書いておくのも一つの方法です。たとえば、「①ペンを一度置く」「②深呼吸を3回する」「③今のページの問題をひとまず飛ばし、次の1問だけに意識を向ける」というように、具体的なステップを決めておきます。本番では、その紙自体を見なくても、「困ったらこの順番でやる」と心に決めていれば、それだけで少し気持ちが楽になります。

大事なのは、「分からない問題が1問ある=試験全体が終わり」という考え方から離れることです。国試は、分からない問題があって当たり前の試験です。一つの問題にとらわれず、「少し落ち着いたら、また戻ってくればいい」と自分に言い聞かせながら、今できる目の前の1問に集中していく姿勢が、結果的に点数にもメンタルにもプラスに働きます。

不安が強い人が、学校や医療機関に相談しておくという選択肢

ここまでお話ししたのは、あくまで一般的なコンディション管理の工夫です。ただ、なかには「胸のドキドキや息苦しさが強すぎて、日常生活にも支障が出ている」「眠れない日が続いて、勉強どころではない」といった状態になっている方もいるかもしれません。その場合、「気合で何とかする」「自分だけで我慢する」という方向に頑張りすぎないことが、とても大切です。

メンタル面の不調や強い不安を感じているときは、まず学校の教員、学生相談室、保健室など、身近な窓口に相談してみてください。「国試のことを考えるとつらくなる」「最近眠れない日が続いている」など、感じていることをそのまま伝えて大丈夫です。場合によっては、心療内科や精神科など医療機関での受診をすすめられることもありますが、それはあなたが弱いからではなく、「専門家の力を借りながら受験を乗り切るため」の選択肢の一つです。

この文章は医師の診断や治療の代わりにはなりませんし、具体的なお薬や治療法について判断することもできません。体の症状や気分の落ち込み、強い不安などが続くときは、必ず医療の専門家に直接相談してください。そのうえで、「日常の工夫」として、ここで紹介したような睡眠・食事・呼吸・ルーティンなどを、自分に合う形で取り入れてもらえたらと思います。

まとめ:コンディションを整えることも立派な「国試対策」

国試の本番に向けて、多くの受験生が「どれだけ勉強できたか」に目を向けます。でも実は、それと同じくらい大切なのが、「本番に向けてどれだけ自分のコンディションを整えられたか」という視点です。試験の1〜2週間前から睡眠リズムを少しずつ調整し、前日・当日の食事を極端に変えず、胃腸や血糖値に負担をかけない工夫をすること。会場では、短い呼吸法や自分なりのルーティンを使って心を落ち着け、もしパニックになっても「リセット手順」に沿って立て直せるようにしておくこと。そして、不安が強いと感じるときには、一人で抱え込まず、学校や医療機関など専門家の力を借りる選択肢もちゃんと持っておくこと。

こうした準備は、教科書や問題集には載っていないけれど、合否や「受けたあとの自分の気持ち」に大きく関わってきます。コンディションを整えることは、決してサボりではなく、真剣な国試対策の一部です。自分の心と体を大事にしながら、「今の自分ができるベスト」を出せる当日を一緒に目指していきましょう。

もし、自分に合った睡眠・勉強・当日の過ごし方のバランスを考えるのが難しいと感じたら、身近な人に相談するのはもちろん、外部のAIサービスに「自分の生活リズム」や「不安な場面」を入力して、一緒にスケジュールやルーティンを組み立ててもらう、という使い方もできます。人の力とデジタルの力を上手に組み合わせながら、勉強だけに頼らない「本番に強い自分づくり」を進めていってください。

 

 
監修者プロフィール

Meg看護師国試予備校講師 H先生

富山県立大学看護学部を卒業後、長崎大学医学部医学科へ編入。

現在は、アクト医療資格グループ「Meg看護師国試予備校」の講師として活躍しており、看護学全般の知識と、医学的視点を融合させた質の高い授業を展開しています。 そのわかりやすい授業は学生から大変好評を得ており、受験生が確かな知識を身につけられるよう指導にあたっています。