動脈血ガス分析(ABG)と酸塩基平衡の見方|国試計算問題対策を図解

この記事の結論
動脈血ガス分析(ABG)の計算問題は、たった3つの数字の「基準値」を覚えればパズル感覚で解けます。
① pH(7.35〜7.45):まず血液全体が酸性かアルカリ性かを見る。
② PaCO₂(35〜45 Torr):原因は「肺(呼吸)」か?(CO₂は酸性)
③ HCO₃⁻(22〜26 mEq/L):原因は「腎臓(代謝)」か?(HCO₃⁻はアルカリ性)
国試の鉄則:pHを見て結論を出し、PaCO₂とHCO₃⁻のどちらが犯人(原因)かを見極める「3ステップ」で読み解きましょう!

看護師国家試験で出題されると「捨て問」にしてしまう人が多い動脈血ガス分析と酸塩基平衡。「アシドーシス?アルカローシス?どっちがどっちか混乱する…」と悩んでいませんか? 実は、仕組みさえ分かれば暗記項目が少なく、確実に点数が取れる「得点源」になります。この記事では、完全マンツーマンの丁寧な指導で受験生を支える看護師国試予備校「Meg」の講師が、国試の計算(判読)問題を解くための最強ステップを丸暗記ゼロで分かりやすく解説します!
Aさん

「呼吸性」と「代謝性」の見分け方が分かりません。過換気症候群や嘔吐の時に、血液がどうなるのか丸暗記しようとしてパンクしています…。

講師

丸暗記は不要です!二酸化炭素(CO₂)は「酸」、重炭酸イオン(HCO₃⁻)は「アルカリ」という性質だけ覚えてください。あとは天秤(シーソー)のバランスを考えるだけで、どんな問題も解けるようになりますよ!専門の看護師国試予備校ならではの解き方のコツを、一緒に整理していきましょう!

1. まず覚える!絶対に必要な「3つの基準値」

国試の問題文には数値しか書かれません。以下の3つの基準値だけは確実に暗記してください。

① pH(ペーハー):7.35 〜 7.45

血液が「酸性」か「アルカリ性」かを示します。7.40をど真ん中(基準)とします。
7.35未満 = 酸性に傾いている(アシドーシス)
7.45より上 = アルカリ性に傾いている(アルカローシス)

② PaCO₂(動脈血炭酸ガス分圧):35 〜 45 Torr

血液中の二酸化炭素の量です。「肺(呼吸)」の働きを示します。
CO₂は水に溶けると炭酸になるため「酸性のガス」と覚えてください。
・肺にCO₂が溜まる(息を吐けない)と、体は「酸性」になります。

③ HCO₃⁻(重炭酸イオン):22 〜 26 mEq/L

血液中の重炭酸イオンの量です。「腎臓(代謝)」の働きを示します。
HCO₃⁻は酸を中和する「アルカリ性の物質」と覚えてください。
・腎臓からHCO₃⁻が減る(下痢などで失う)と、中和できずに体は「酸性」になります。

2. 酸塩基平衡を読み解く「魔法の3ステップ」

国試の問題が出たら、必ず以下の順番で数値をチェックしてください。

💡 判読の手順
  • 【ステップ1】pHを見る(結論を出す)
    7.35未満なら「アシドーシス」、7.45より上なら「アルカローシス」で確定!
  • 【ステップ2】PaCO₂を見る(呼吸性を疑う)
    ステップ1の結論と一致するか確認します。例えばpHがアシドーシス(酸性)のとき、PaCO₂が45以上(酸が溜まっている)なら、犯人は肺なので「呼吸性アシドーシス」です。
  • 【ステップ3】HCO₃⁻を見る(代謝性を疑う)
    PaCO₂が犯人でなかった場合、こちらを見ます。pHがアシドーシス(酸性)のとき、HCO₃⁻が22未満(アルカリが減っている)なら、犯人は腎臓・代謝なので「代謝性アシドーシス」です。

3. 国試によく出る!原因疾患と代償作用Q&A

「どんな病気・状態で、どのパターンの異常が起きるか」は国試の超頻出項目です。

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状態 原因となる代表疾患・症状
呼吸性
アシドーシス

(CO₂が溜まる)
息がうまく吐けない状態。COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支喘息の重症発作、睡眠時無呼吸症候群、呼吸抑制(麻薬等)など。
呼吸性
アルカローシス

(CO₂が出すぎる)
息を吐きすぎて酸性ガスを失った状態。過換気症候群、パニック障害、人工呼吸器の過換気など。
代謝性
アシドーシス

(アルカリが減る/酸が増える)
激しい下痢(腸液というアルカリを失う)、糖尿病ケトアシドーシス(ケトン体という酸が増える)、腎不全(酸を排泄できない)。
代謝性
アルカローシス

(酸が減る)
激しい嘔吐(胃酸という強力な酸を失う)、利尿薬の過剰投与によるカリウム・クロール喪失など。
【重要】代償作用(だいしょうさよう)とは?
体が酸性(またはアルカリ性)に傾いたとき、命を守るために別の臓器が頑張ってバランスを取ろうとする働きです。実績豊富な看護師国試予備校の講義でも、合否を分ける重要ポイントとして深く指導されます。
・肺(呼吸)が悪くなった場合 ⇒ 腎臓がHCO₃⁻の量を調整して助ける(時間がかかる)
・腎・代謝が悪くなった場合 ⇒ 肺が呼吸の速さを変えてCO₂を調整して助ける(すぐ反応する)

4. まとめ:練習問題を解いてみよう

例えば、国試で「pH 7.30、PaCO₂ 55、HCO₃⁻ 25」というデータが出たら?

ステップ1:pH 7.30 は基準より低いので「アシドーシス(酸性)」
ステップ2:PaCO₂ 55 は基準より高い(酸性のCO₂が溜まっている)。
ステップ3:結論!犯人は肺なので「呼吸性アシドーシス」です。(HCO₃⁻は正常値なので関係なし)

このように、手順通りに当てはめるだけで、複雑に見える計算問題も必ず正解にたどり着けます!

実力チェック!確認テスト(全10問)

記事の内容が身についたか確認しましょう。各問題をタップ(クリック)すると、解答と解説が表示されます。

Q1. 動脈血のpHの正常基準値はいくつか。
解答:7.35 〜 7.45
この範囲より低ければアシドーシス、高ければアルカローシスと診断する最も重要な数値です。

Q2. PaCO₂(動脈血炭酸ガス分圧)の正常基準値はいくつか。
解答:35 〜 45 Torr (mmHg)
呼吸(肺)の働きを示します。pHの小数点の数字(35〜45)とリンクさせて覚えると簡単です。

Q3. HCO₃⁻(重炭酸イオン)の正常基準値はいくつか。
解答:22 〜 26 mEq/L
代謝(腎臓)の働きを示すアルカリ性の物質です。24を基準として±2と覚えます。

Q4. 過換気症候群で息を吐きすぎた場合、血液の酸塩基平衡はどうなるか。
解答:呼吸性アルカローシス
酸性のガスである二酸化炭素(CO₂)を体の外に過剰に捨ててしまうため、血液が相対的にアルカリ性に傾きます。

Q5. 激しい嘔吐を繰り返した場合、血液の酸塩基平衡はどうなるか。
解答:代謝性アルカローシス
強い酸性である「胃酸」を大量に嘔吐して失うため、体の中が相対的にアルカリ性に傾きます。

Q6. COPD(慢性閉塞性肺疾患)が進行すると、血液の酸塩基平衡はどうなるか。
解答:呼吸性アシドーシス
息をうまく吐き出せないため、酸性のガスであるCO₂が肺の中に慢性的に溜まり、血液が酸性に傾きます。

Q7. 激しい下痢を繰り返した場合、血液の酸塩基平衡はどうなるか。
解答:代謝性アシドーシス
腸液(膵液や胆汁など)はアルカリ性です。下痢によってアルカリ性の液を大量に失うため、相対的に体が酸性に傾きます。

Q8. 糖尿病ケトアシドーシスや腎不全で起こるのは、どの酸塩基平衡異常か。
解答:代謝性アシドーシス
体内に酸(ケトン体など)が異常に発生したり、腎臓から酸を尿として排出できなくなったりすることで起こります。

Q9. 代謝性アシドーシスが起きた際、体はどのような「代償作用」を働かせるか。
解答:呼吸を速く・深くしてCO₂を排出しようとする(クスマウル大呼吸など)。
体が酸性になっているため、肺が頑張って酸性ガス(CO₂)を捨てて、なんとかバランスを取ろうとします(呼吸性代償)。

Q10. 呼吸と代謝(腎臓)、代償作用の反応スピードが速いのはどちらか。
解答:呼吸(肺)
肺による代償(呼吸を荒くするなど)は数分〜数時間で素早く反応しますが、腎臓による代償(イオンの再吸収など)は数日かかるのが特徴です。

苦手な「計算・病態」を克服して、確実な合格へ

動脈血ガス分析(ABG)や酸塩基平衡は、一度パズルのような「解き方の手順」を掴んでしまえば、国家試験本番で大きな得点源へと変わります。

「教科書を読んでも代償作用の仕組みがピンとこない」「模試の点数が伸び悩んでいて不安」という方は、完全マンツーマンの個別指導で受験生一人ひとりに寄り添う看護師国試予備校「Meg」にご相談ください。入学前の基礎固めから、現役生の弱点補強、既卒生向けの通年カリキュラム、進級・卒業試験対策にいたるまで、あなた専用の学習プランで徹底サポートいたします。

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この記事の執筆者
K先生
看護師/Meg看護師国家試験予備校 講師
第108回看護師国家試験合格。看護師として九州大学病院に勤務後、看護師国試予備校「Meg」にて講師を務める。