呼吸器の解剖生理まとめ|換気とガス交換の基礎から国試へ

この記事の結論
呼吸器系の解剖生理は、「空気の通り道(気道)」と「ガス交換の場(肺胞)」に分けて考えると分かりやすくなります。
① 換気(息の出入り): 肺は自力で動けません。「横隔膜」が下がり、胸の中(胸腔内圧)が強い「陰圧」になることで空気が吸い込まれます。
② ガス交換: 肺胞で行われる「外呼吸」と、全身の細胞で行われる「内呼吸」があり、分圧差による「拡散」で行われます。
国試の鉄則:気管支の左右差(右が太く短い=誤嚥しやすい)と、肺胞を潰さない物質(サーファクタント)は必ず覚えましょう!

看護師国家試験の「人体の構造と機能」や「疾病の成り立ち」で必ず土台となる呼吸器の解剖生理。「換気とガス交換って何が違うの?」「胸腔内圧が陰圧ってどういうこと?」と悩んでいませんか? この記事では、完全マンツーマン指導で高い実績を持つ看護師国試予備校「Meg」の講師が、気道から肺胞までの構造と呼吸のメカニズムを図解を用いて丸暗記ゼロで徹底解説します!
Aさん

サーファクタントとか、死腔とか、カタカナや難しい言葉が多くて覚えられません。横隔膜が下がると息が吸える仕組みも、いまいちピンとこなくて…。

講師

呼吸器は「注射器のポンプ」をイメージするとすごく簡単になりますよ!肺という風船を、横隔膜というポンプで引っ張って膨らませているんです。専門の看護師国試予備校ならではの視点で、構造と仕組みをセットで整理していきましょう!

1. 呼吸器の構造:「空気の通り道」と「交換場所」

呼吸器は、鼻から肺胞まで繋がっていますが、役割によって大きく2つに分けられます。

[attachment_0](attachment)

① 気道(導管系):ただ空気が通るだけの道

鼻腔・咽頭・喉頭・気管・気管支までの道です。ここではガス交換(酸素と二酸化炭素の入れ替え)は行われません。そのため、この空間にある空気は呼吸の役に立たないため「解剖学的死腔(約150mL)」と呼ばれます。

  • 気管支の左右差: 右の主気管支は、左に比べて「太く・短く・垂直に近い」です。そのため、誤嚥した食べ物や気管内挿管のチューブは「右」に入りやすくなります。

② 肺胞(呼吸系):ガス交換の主役

気管支の末端にあるブドウ of 房のような小さな風船です。ここで血液とガスのやり取りが行われます。

  • サーファクタント(表面活性物質): 肺胞がペチャンコに潰れないように内側に塗られている物質です。「II型肺胞上皮細胞」から分泌されます。(※石鹸水がシャボン玉を割れにくくするのと同じ働きです)

2. 換気のメカニズム:横隔膜と胸腔内圧

私たちが息を吸ったり吐いたりすること(換気)は、筋肉と圧力の変化によって行われています。肺には筋肉がないため、自力で膨らむことはできません。

[attachment_1](attachment)

息を吸うとき(吸気)

主役は横隔膜外肋間筋です。

  1. 横隔膜が「収縮」して、下にギュッと下がります。
  2. 胸の空間(胸腔)が縦に広く大きくなります。
  3. 空間が広がると、胸腔内圧(胸の中の圧力)がさらに強い「陰圧(マイナス)」になります。(※注射器を引くと中がマイナスになって水が吸い込まれるのと同じです)
  4. マイナスの力で肺が引っ張られて膨らみ、空気が流れ込みます。
💡 胸腔内圧は「常に陰圧」!

国試で頻出のひっかけポイントです。胸腔内圧は、息を吸う時も吐く時も常に陰圧(マイナスの圧力)です。もしここに穴が空いて空気が入り込み、大気圧と同じ(陽圧)になってしまうと、肺が縮んでしまう「気胸」という病気になります。

3.ガス交換:外呼吸と内呼吸

換気によって肺胞に入ってきた空気から酸素を取り込み、二酸化炭素を出すのが「ガス交換」です。場所によって2つの名前がついています。

  • 外呼吸: 肺(肺胞)と血液の間で行われるガス交換。外界の空気とやり取りするので「外」呼吸です。
  • 内呼吸: 全身の組織・細胞と血液の間で行われるガス交換。体の中(内側)で酸素を渡すので「内」呼吸です。

このガス交換は、エネルギーを使わず、濃い方から薄い方へ移動する「分圧差による拡散」で行われます。

4. 国試によく出る!呼吸器解剖Q&A

試験直前の総チェックとして、必ず覚えるべき解剖の数値をまとめました。多くの看護師国試予備校でも必ず指導される最重要項目です。

➔ 横にスクロールできます
項目 内容
Q呼吸の中枢はどこにある? A脳幹の「延髄(えんずい)」です。血液中の二酸化炭素濃度の上昇を感知して、呼吸を速くするよう命令を出します。
Q右肺と左肺、葉っぱ(肺葉)の数は? A右肺が「3葉」(上・中・下葉)、左肺が「2葉」(上・下葉)です。左側には心臓があるため、左肺の方が少し小さく分かれています。
Q1回の呼吸量(1回換気量)は? A成人で約500mLです。そのうちガス交換に使われない解剖学的死腔が約150mLなので、実際に肺胞に届くのは約350mLです。

5. まとめ:イメージで繋げて覚えよう

呼吸の仕組みは、一連のストーリーとしてイメージしましょう。

延髄から命令が出る横隔膜が下がる胸腔内圧がさらに強い陰圧になる肺が膨らんで空気が吸い込まれる(換気)肺胞内で酸素を取り込む(外呼吸)血流に乗って全身の細胞へ渡す(内呼吸)

単語だけを個別に暗記するのではなく、この「ベースとなる仕組み」を理解すれば、呼吸器疾患(気胸やCOPDなど)の高度な問題も一瞬で解けるようになります。

実力チェック!確認テスト(全10問)

記事の内容が身についたか確認しましょう。各問題をタップ(クリック)すると、解答と解説が表示されます。

Q1. 上気道と下気道の境界となる部分はどこか。
解答:声帯(または喉頭・輪状軟骨下縁)
鼻腔・咽頭・喉頭までを「上気道」、それより下の気管・気管支を「下気道」と呼びます。

Q2. 誤嚥(食べ物が気管に入ること)を起こしやすいのは、左右どちらの気管支か。
解答:右主気管支
右の気管支は、左に比べて「太く・短く・垂直に近い(傾斜が急)」ため、異物が落ち込みやすくなっています。

Q3. 肺胞が潰れるのを防ぐ「サーファクタント」を分泌する細胞は何か。
解答:II型肺胞上皮細胞(2型肺胞上皮細胞)
サーファクタント(表面活性物質)を分泌し、肺胞の表面張力を下げることで、息を吐いた時に肺胞がペチャンコに潰れるのを防ぎます。

Q4. 安静時の呼吸(吸気)で働く、主な呼吸筋を2つ答えなさい。
解答:横隔膜、外肋間筋
これらが収縮することで胸腔が広がり、空気を吸い込むことができます。特に横隔膜の動きが換気の大部分を担っています。

Q5. 息を吸う時(吸気時)、横隔膜はどのように動くか。
解答:収縮して、下がる(下降する)
横隔膜が下に引っ張られる(収縮する)ことで、胸の空間(胸腔)が縦に広がり、肺が膨らみます。

Q6. 正常な状態において、胸腔内圧は陽圧か陰圧か。
解答:常に陰圧(マイナス)
吸気時も呼気時も常に陰圧です。吸気時には「さらに強い陰圧」になり、その引っ張る力で空気が肺に入ってきます。

Q7. 肺胞で行われる、血液と外界の空気とのガス交換を何と呼ぶか。
解答:外呼吸
外界の空気から酸素を取り込み、二酸化炭素を出す「肺」での呼吸です。一方、全身の細胞で行うガス交換は「内呼吸」です。

Q8. ガス交換が行われる原動力(仕組み)は何か。
解答:分圧差による「拡散」
ガス(気体)が濃い方から薄い方へと自然に移動する現象です。エネルギー(ATP)は不要です。

Q9. 呼吸器の空間のうち、ガス交換に関与しない部分(約150mL)を何と呼ぶか。
解答:解剖学的死腔(しくう)
鼻腔から終末細気管支までの、単なる空気の通り道のことです。1回の呼吸量が500mLなら、肺胞に届くのは死腔を引いた350mL分です。

Q10. 呼吸のリズムや深さをコントロールしている「呼吸中枢」はどこにあるか。
解答:延髄(えんずい)
脳幹の一部である延髄が、血液中の二酸化炭素濃度などを監視し、横隔膜などの呼吸筋へ命令を出しています。

解剖生理の「丸暗記」から卒業して、一発合格へ

この記事で解説した「呼吸器の仕組み」のように、ストーリーやイメージで納得できれば、国家試験の問題は驚くほどスムーズに解けるようになります。

「いくら勉強しても基礎が身につかない」「記述問題や状況設定問題になると点数が取れない」とお悩みなら、完全マンツーマンの個別指導を行う看護師国試予備校「Meg」にご相談ください。入学前の先取り学習から、現役生のブランク克服、既卒生の年間対策、進級・卒業試験対策まで、あなただけの専用カリキュラムでサポートします。

お問合せ・無料相談はこちら

一人で悩む前に、まずはお気軽にご相談ください。
LINE・お電話・お問合せフォームから、無料相談・無料体験授業をお受けしています。

受付:0120-406-707(Meg看護師国試予備校)

この記事の執筆者
K先生
看護師/Meg看護師国家試験予備校 講師
第108回看護師国家試験合格。看護師として九州大学病院に勤務後、看護師国試予備校「Meg」にて講師を務める。