第114回看護師国家試験 問題解説
114回看護師国家試験の傾向と解説
2025年2月16日に実施された114回看護師国家試験の問題を分析し、出題傾向や解答のポイントを解説します。受験者の皆さんが今後の学習に活かせるよう、各問題について詳しく説明していきます。
出題傾向の特徴
- 頻出項目の深化:基礎的な知識だけでなく、より深い理解が求められる傾向がみられました。
- 応用力の試験:単純な暗記ではなく、複数の知識を統合して考える力が必要な問題が増加。
- 画像問題の増加:心電図や生理学的な図を用いた問題が出題され、視覚的理解が重要に。
- 最新の医療制度の出題:医療的ケア児支援法など、直近で制定された法律を問う問題もありました。
では、114回看護師国家試験の問題を見ていきましょう。
第114回看護師国家試験の傾向
114回看護師国家試験では、過去の出題傾向を踏まえつつ、基礎医学や臨床判断を問う問題が見られました。特に、状況設定問題においては、看護実践に必要な知識を統合し、適切な判断を行う力が求められました。本記事では、各問題の特徴を分析し、今後の学習戦略について考えます。
午前17問
尿中ケトン体が陽性になる疾患はどれか。
- 痛風
- 肝硬変
- 糖尿病
- ネフローゼ症候群
飢餓や糖尿病などが原因で、体内で利用できる糖質が枯渇すると、脂肪酸が代謝され(β酸化)エネルギー源として利用される。
その結果、代謝産生物質としてケトン体が産生される。ケトン体は酸性であるため、高ケトン体血症ではケトアシドーシスとなる。
臨床では糖尿病の重症度や病状の把握のために尿検査でケトン体を測定する。
「尿中ケトン体が陽性」=ケトーシス状態、と考えて選択肢を絞る。
午前61問
最も新しく制定された法律はどれか。
- 母子保健法
- 児童虐待の防止等に関する法律
- 子どもの貧困対策の推進に関する法律
- 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律
医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)は令和3年(2021年)に策定、施行された法律である。
この法律は、医療費術の進歩に伴い近年増加傾向にある医療的ケア児(人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為が必要な児)を支援するために策定されたものであり、現代の日本の社会情勢に合わせて策定された最も新しい法律である。
その他の選択肢については、以下が策定・施行年である。
- 1.母子保健法(昭和40年策定、昭和41年施行)
- 2.児童虐待の防止等に関する法律(平成12年策定・施行)
- 3.子どもの貧困対策の推進に関する法律(平成25年策定、平成26年施行)
午後38問
- テトラサイクリン系抗菌薬は、牛乳によって作用が減弱される。
- 非ステロイド性抗炎症薬は、炭酸飲料によって吸収速度が速まる。
- テオフィリンは、カフェインを含む飲料によって作用が減弱される。
- カルシウム拮抗薬は、グレープフルーツジュースによって作用が減弱される。
テトラサイクリン系抗菌薬は、牛乳、カルシウム、マグネシウム、鉄などによって消化管からの吸収が低下するため、作用が減弱される。
他の選択肢については:
- 【選択肢2】:非ステロイド性抗炎症薬は、酸性である炭酸飲料によって胃内のpHが変化することで吸収速度が遅延する。
- 【選択肢3】:テオフィリンは、カフェインと構造が似ているため一緒に摂取すると代謝が遅延し作用が増強される。
- 【選択肢4】:カルシウム拮抗薬は、グレープフルーツジュースによって小腸の酵素が阻害されるため、血中濃度増大し作用が増強される。
午後56問
Aさん(81歳、男性)は、大腸内視鏡検査を受けることになった。
検査前にAさんへ看護師が確認する項目で最も優先されるのはどれか。
- 義歯の使用
- 白内障の有無
- 保持できない姿勢
- 前立腺肥大症の有無
大腸内視鏡検査では、腸管の動きを弱まらせるためにブスコパンなどの抗コリン薬を投与する。
抗コリン薬は前立腺肥大症や緑内障を増悪させるためそれらの既往がある患者に対しては使用禁忌の薬剤である。
高齢者男性は前立腺肥大症の既往のある人が多いため、抗コリン薬の投与が可能かを判断するためにあらかじめ既往の有無を確認する。
「高齢者男性」「大腸内視鏡検査」「前立腺肥大症」のキーワードを連想させて考える必要がある。
◯F先生